鍼灸院を開業した訳

鍼灸院を開業する前は家族で薬局を経営していました。

しかし、行き過ぎた規制緩和による厳しい時代。今までの経営が
通用しないのは明らかでした。

初めは、より系統立てた東洋医学の知識を得て、漢方薬の販売
に役立てればいいかと考えていましたが、二兎を追うものは一兎
も得ず。どうせやるなら鍼灸専門で開業したほうがこの先、厳しい
時代を乗り切れるのでは!と考えたのが主な動機です。

開業後まもなく印象に残る出来事がありました。

近所の高齢の女性が人に脇を抱えられ、今にも転倒しそうな状態です。

話を聞いてみると突然大きな声で怒鳴られたのが原因。足に力が入らず、
歩行困難。病院で診察しても特に異常はない。

感情の変化が身体に影響する場合も多いので、学校で学んだ治療法を
試しました。

すると、治療後に何とか一人で歩けるようになり、何度も「先生に
助けられました」と開業したての私に頭を下げて、とても感謝され
ました。

「鍼灸はこんなにも効果があるんだ」と鍼灸治療の良さを再認識。

開業直後でとても不安な時期でしたが、自分の治療に自信が持てる一件
でした。

その後、昨年まで必ず週1回来院して頂きましたが、現在は一人暮らし
を心配した親族の自宅に身を寄せていらっしゃいます。

いつまでも長生きされることを願ってやみません。

こうした経験ができるのも鍼灸院を開業したお蔭だと感謝しています。